World

西暦20XX年、日本。

それは我々が生きる現代社会。ごく当たり前のように日常生活を送る、リアルで在り来たりで平凡な世界。

これは、そんな平和な筈の日常の影に、裏に、隣に、密やかに存在する、“禁忌”の物語。

 

御伽噺や伝承に良く現れる、人に良く似た姿の化け物達。

人々の隣にひっそりと存在すると言い伝えられてきたそれは、近代化に応じて子供を怖がらせるだけに過ぎない昔語りのひとつとして次第に薄れていく……筈だった。

しかし、栄えていく科学文明の傍ら、あまりに不可解で奇妙な事件は起こり続けた。

 

牙の様な噛み跡を残し、体の生き血を抜かれて死んだ遺体。

霊安室や葬儀場から持ち去られる人の遺体。消息不明の子供や若い男女。

水上に突発的に発生して水難事故を起こし、前触れ無く現れては消えていく異常気象。満月の夜に異常発生する、獣に食い荒らされたかのような凄惨な殺人事件。

被害者記憶喪失や洗脳状態が見られる強姦暴行事件や幻覚を見せられたと訴える人々。

 

これらを調査しない訳には行かない人間達は、次第にその秘せられた禁忌の存在の輪郭へと触れる。

古の物語の中だけの存在と思われているだけだった人ならざる者達が、今もなお、この世界の何処か、否、この世界中の至る所に、息を潜めて存在しているという事を理解したのである。

人間は恐れ戦き、畏怖し、好奇心と嫌悪感と同情と、様々な感情を膨れ上がらせた。

そうして彼らは崇拝する為、探求する為、共存する為、身を守り殲滅する為、人々は集まり、群れを成し、各々がその人ならざる者達を探す為に血眼となった。

 

人間は、かの生き物たちを、「禁忌の者達、ヴェティター」と呼んだ。

 

人々の生活に紛れ込んで生きていたヴェティター達は戦慄した。

これでは自分達がいずれ根絶やしにされるのは時間の問題。

 

迎合しなくては。と誰かは言った。理解してくれる人間と手を組もう。共存の道を図らねば、我らは絶滅すると。

隠匿しなくては。と誰かは言った。我らは初めから日陰の存在。より一層深く暗い所へ隠れるだけ。

蜂起しなくては。と誰かは言った。我らは今まで不当な扱いを受けていた。今こそ決起しその力を知らしめるべきだと。

 

それぞれの思惑はぶつかり合い、絡み合い、複雑な不協和音を奏でていく。

水面下で、その火花は弾け始めていた。

人間と、ヴェティターと、それぞれがそれぞれの生きる道を探る為に。

 

――今、禁忌の者達の悪夢が、幕を開ける。

 

 


舞台

20XX年、現代日本。エンカウント率の関係から“首都”でのロールプレイ(以下RP)を推奨していますが、強制ではありません。任意で地方都市での活動も可能です。

 

背景

ヴェティター”と呼ばれる人外の種族が人間の生活の中に紛れ込み生きている世界です。ヴェティターの認知度は一般人では噂話、都市伝説程度ですが、政府関係者や研究施設、その他組織に所属している人間はそれが現実に存在する人間とは隔たりを持った生き物だという事を理解しています。

 

ヴェティターはその生態上人間を犠牲にしなければ生存できない、または性質上已む無く犠牲にしてしまうものが多く、それ故に頻発する事件が人間によって問題視されています。日本政府や各国は混乱とパニックを危惧してヴェティターに関する情報は秘匿扱いとされていますが、様々な情報網さえ掴めばヴェティターについてのある程度の知識を得る事も可能です。

 

種族

ヴェティターについて、現在確認されている種族は五種。

 

人の生き血を啜る生き物、“吸血鬼

嵐を呼び、水難を起こす生き物、“人魚

満月の夜に理性の無い獣と化す生き物、“人狼

人肉や死肉を喰らう生き物、“屍食鬼

人の夢や精を喰らう生き物、“夢魔

 

まだ発見されていない種族がある可能性も考慮されています。

(詳細は種族にて)

 

 

組織

ヴェティター側には、以下三つの主な組織が存在します。

 

人間との共存を図り、理解者を募ろうとする共存派の“黎明の友協会”

自分達は今まで通り隠れて生活すべきだという保守派の“アンダーグラウンド派”

蜂起し、社会をヴェティター主体のものに作り変えるべきだという革命派の“ニーグルム軍”

 

 (詳細はヴェティター側組織にて)

 

人間側には、以下四つの主な組織が存在します。

 

ヴェティターを凶悪犯罪を引き起こす巨悪として取り締まろうとする警察秘密組織“捜査禁課”

ヴェティターを神の種族として崇め信仰の対象とする新興宗教、“エヴァンゲスト神教”

ヴェティターを研究しようと警察とは別に独自の捜索をしている研究団体“メビウス学会”

ヴェティターを人間と同列に扱い、その権利を主張する支援団体“比翼連盟”

 

 (詳細は人間側組織にて)